テンカラはキャスティングが半分

 

藤の花が咲く頃からテンカラの盛期と言われる。

この頃は晴れの日が多く、乾燥しているので爽やかである。大汗かきの私でも汗でパンツが濡れるくらいである。それは汗ではない。

さらに抜かれた魚もまだ少ないので魚も残っている。くわえて魚もまだまだ毛バリを見ていないという、テンカラ向きの条件が重なっている。

餌釣りの餌を散々見てきて、見飽きているところに、初めて毛バリをみた魚たちは「これ、ナンダベ?」毛バリにたいしてまったく違和感なく、素直にくわえる。

つまりこの頃はテンカラを始めるのに最適な季節である。

多くの講習会や個人講習をやってきた経験からすればテンカラは簡単な釣りである。

1. 食い気がある魚がいて、その近くに毛バリが落ちたり、流れれば必ずくわえる。合わせをすれば掛かる。

海外のテンカラで魚ってこんなにウブなのだと思うことを何度も経験した。魚がスレるのは人が作り出している。

2. ところが、食い気のある魚はそうそういない。これから始めようという人はいきなりウブな魚が多く、ポイントがわかりやすい源流へは行かない。誰もが竿を出す激戦区である。

3. ここの魚はスレまくりで、毛バリを打っても「フン、毛バリかぃ! 本物を出さんかい、ワレぇ」と反社のような言葉をはいて毛バリ見切る。

また、「ニセモンとわかってるさかい、ちょぴっとやでぇ」と、がっぷり毛バリをくわえない。

確かにこういう場所のテンカラは初心者には難しいのでテンカラは難しい思うのは無理もない。

4. 管理釣り場なら初心者でも簡単に釣れる。魚は多いし、スレていない。管理釣り場で釣れるのに渓流で釣れないのは、魚は少ないし、しかもスレているのが理由である。

5. 渓流は底石、流速、水深など複雑なので、どこに魚がいるか、どこに毛バリを落とせばいいか、どこに立てばいいかなど、やること、考えることが一杯ある。それらをクリアしなければならない。

6. テンカラはキャスティングが半分である。キャスティングができればテンカラの半分ができたようなものである。掛かれば魚の半分が飛んでくる。

7. キャスティングがうまくないと、狙ったところに毛バリが落ちない。何度も打ちかえしているうちに警戒される。さらに遠くに飛ばないので、近づきすぎて魚に気づかれてしまう。

8. キャスティングは運動技術である。大谷翔平だっていきなりあのような投球ができたわけではない。長い間の練習のたまものである。誰しもいきなり大谷にはなれないが、練習しても大谷にはなれな い。

9. キャスティングも技術である。いきなり渓流で毛バリを飛ばそうとしても無理である。テンカラは難しいと思う一つに毛バリが飛ばないからがある。

YouTubeや本でキャスティングのコツを知ることだけでも違う。講習会に参加するのが一番だが、どこでも講習しているわけではない。

私も機会あるごとに、リクエストがあれば都合のつく限り講習しているが玄界灘、波高しである。

限界があって難しい。まだどうしょうもないダジャレを言ってしまった。