エラの見えるイワナ、どぎつい朱点のアマゴ

 

魚の写真は釣り仲間から借用

 

釣り百景「伝統釣法テンカラ 美しき渓流魚と戯れる」はテンカラ専用区で撮影した。

何人かの人からイワナのエラが見える? 放流魚?と聞かれた。

放流魚である。この渓流は入渓しやすいこともあり、いくら放流しても抜かれまくってシーズン末にはほとんど魚がいない状態で、このため産卵による自然繁殖も期待できなかった。

渓相をみたとき、産卵可能な場所が全域にあり、ここなら放流すれば繁殖が可能で、繁殖を繰り返すことでこの渓流生まれの魚が殖える。

それとともに放流魚を減らすことができると考え、ここをテンカラ専用のC&R区間に選んだ経緯がある。

魚がいないので最初は放流しなければならない。ヤマメとイワナを放流したが、小さいエラブタのイワナが多く、上記のような指摘になった。

釣り仲間から、ある人が長野県の朱点がどぎついアマゴ、エラの見えるイワナについて長野県に質問し、長野県から回答したサイトがあるとの連絡があった。

https://www.sakanakokoro.com/2021/02/26/58279/

 

エラの見える魚

エラの見えるイワナはテンカラ専用区の事例があるので興味があり、なぜなのかと魚の研究者や実際に養殖している人に聞いて、有益な意見をいただいた。まとめると

研究者からは、エラブタが小さくエラが見える魚は卵や仔魚のときの環境変化、たとえば河川水や沢水を使用しているときの急な水温変化により起こる可能性がある。

実際、小さい魚を購入して大きく育てている管理釣り場の人からは、成魚になってからエラブタが小さくなることはないことから、卵や仔魚のときのストレスが原因ではないか。このため魚にストレスを与えないように育てているとのこと。

卵や仔魚のときのさまざまなストレスが理由と考えられる。つまり非常にデリケートな魚のようだ。もちろん他の原因もあるかもしれないが。

出荷時になってエラブタの小さい魚もOKとするか、ダメとするかは業者の考えと思うが、全匹ならともかく、1匹づつ確認することができないので出荷されてしまうのだろう。

 

朱点がどぎつい魚

天然(野性)のアマゴの朱点は小さく、これってヤマメ?と思うほど少ない。天然アマゴとヤマメの東の境界は伊豆半島にある。 ただ「遺伝子的」には朱点の有無だけで判断はできないようだ。

朱点がたくさんあり、どぎついアマゴは私も長野県の放流地点でしばしば見かける。

この理由について長野県水産試験場のある方から、スーパーなどに出荷するとき消費者が、朱点がたくさんあるアマゴを綺麗な魚として好むため、そのような魚を養殖するので、それが放流用にも回るからではないかと聞いたことがある。

とすると長野県という地域性があるのかもしれない。

放流アマゴでも、ヒレも揃って朱点も少なく、一見すると本物?に見えるのもいる。一方、ヒレがボロボロなのもいるので育て方、餌の違いで多様なアマゴが生産されるのだろう。

渓流を「釣り掘」と見なす人にはどぎつい魚、ヒレボロの魚でいいだろうが、少なくとも天然ものを釣りたいと思っている人には朱点の多い、どぎつい魚は願い下げである。