怪物狩り

 

怪物狩り(小塚拓矢著・地球丸、2010年初版)の書評を書いた。著者が18歳から24歳の間に23カ国、453日にわたり淡水の怪魚を追いかけた行動記録である。

(株)モンスターキス  小塚拓矢(代表)

こんな若者がまだ日本にいたのか。驚きと感動をもって読んだ本である。著者を越える若者はもう出ないかもしれない。

世界には私たちが知らない怪魚がいることに驚く。翻って、世界の怪魚に比べて日本の魚がいかにやさしく、穏やかな性質であるかを知る。

日本人がそうであるように、日本の淡水魚もしかりである。日本の淡水魚で魚を食う(食らう)フィッシュイーターは少ない。この本を通して日本の魚が相手でよかったと改めて思う。

 

 

コロナは今後も感染者の増減はあるものの、終息に向かいつつある。外出自粛の「要請」で感染者を押えたことに海外からは驚きの目で見られているようだ。

日本人は同調圧力に弱いからと日本の識者が言うのは残念である。弱いのではなく同調できる国民だからである。

同調できない国民性の国は、厳しいルールとペナルティで自粛を「強制」しなければならない。

自粛期間中に多くの本を読んだが、その中で、他者に同調する日本人の国民性は、日本の国土にあるとする「国土が日本人の謎を解く」(大石久和著、産経新聞出版、2015年)は説得力がある。

災害の多い日本は、災害で多くの人が死ぬことから「災害死史観」が生まれた。天は恨んでも人は憎まない。

関ヶ原では東西で20万の兵が対峙しても、数時間で終わり死者は8000人だったとか。徹底的に相手を虐殺しない。

災害の少ない海外では、人の大量死は紛争、戦争による。虐殺の歴史から「紛争死史観」が生まれたとするものである。毛沢東の時代、4000万人が死んだとされている。人を憎む。

さらに「辺境メシ」(高野秀行著・文藝春秋、2018年)も 面白かった。ゴリラを食べた著者が世界の辺境で人々がどんなものを食べているか、食べてきたか、すべて実食したものである。

よく、中国人は足のあるものはイス以外は食べると言われるが、「中国人は2本足はお父さん、お母さん、4本足はイス以外は食べる」と中国人は言うと紹介されている。

お父さん、お母さん以外は食べる・・・。すると、こんなものまで食べるのか、興味のある人は本書を。

えぇ! サザ虫(黒川虫)や蜂の子、イナゴを食べるの・・。

まったく奇食ではない。つくづく日本人でよかったと思う。