Mさんの毛バリ検証実験

 

Mさんは今年からテンカラを始めたピカピカの一年生。栃木県水産研究教育機構の魚の研究者である。

やはり毛バリに迷いがあるようで、毛バリの迷宮に入ろうとしていた。毛バリは何でもいいというけれど、それならハックルと胴の役割は何だろうか?

研究者ならではの発想である。さっそく毛バリ検証実験を行った。場所は栃木県の渓流。

2種類の毛バリ

ハックルだけの毛バリ:Mさん、蓑毛駄毛鉤(みのけだけばり)と命名

胴だけの毛バリ:胴駄毛鉤(どうだけばり)と命名

発想豊かなギャグに巻けそう。間違い、負けそう。

 

 

Mさんの感想

胴だけの毛バリでイワナ、ハックルだけの毛バリでヤマメが釣れた。

胴だけの毛バリはハックルの抵抗がなく、操作が難しかった。

ハックルだけの毛バリは胴にしっかり固定されていないので強度的に問題がありそうで、2匹釣ったらバラバラになりそう。やっぱり胴とハックルの両方が必要なのだと感じた。

この実験で毛バリの呪縛から少し解き放たれた気がする。これだけ長く使われた来た道具には、やはりそれぞれにしっかり役割があることを痛感した。

私の考え

ハックルだけ、胴だけの毛バリでも釣れることを検証したMさんは毛バリの呪縛から解放されたに違いない。

テンカラマンの中にはハックルだけの毛バリを自信バリにしている人もいる。また、フライのニンフは胴だけなので、ハックルだけ、胴だけでも釣れることはわかっていたが、検証したのはMさんが初めてである。

胴はなくてもいいが、ハックルをしっかり固定するのに必要である。

ではハックルは何のために。ハックルは魚には虫の羽根に見えるからというのは釣り人の発想である。

1. 魚の目につくため

ハックルを巻くことでシルエットが大きくなり、魚の目につきやすいから。

2. 沈下速度の調整

ハックルがないとすぐに沈んでしまうが、ハックルがあると沈下の抵抗になり、沈むのに時間がかかる。ハックルを大きく厚く巻くと毛バリが沈むのに時間がかかる。私のようなバーコードハックルなら早く沈む。

もし、水面、あるいは水面直下で魚が反応するようならハックルの多い毛バリを、スッと沈ませたいならハックルの少ない毛バリを使いわけるのがいいと思う。