遥かなる遠山郷

 

写真集『60年前の記憶 遥かなる遠山郷』(信濃毎日新聞社)が発売された。1958年、今から60年前の40日にわたる遠山郷、下栗の里の写真記録である。

下栗の集落のもっとも上が1000m、もっとも下で800m。実に標高差200mにへばりついている天空の里、日本のチロル、日本のマチュピチュなどと呼ばれる里である。集落からはるか眼下に遠山川本流がかすかに、蛇行する細い筋となって見える。

60年前のことである。どれほど厳しい生活であったかは写真から伺い知ることができるが、笑顔あふれる家族、楽しそうな子どもたち。子どもたちは60年前の私と同じ顔をしている。つくづく、幸せは成るものではなく 、感じるものなのだ。

かって足しげく通った遠山川に、もうかなり遠ざかっている。写真集を片手に写真の場所を訪ねつつ、釣りを再開しようかと思っている。