加賀竿展を訪ねる

 

金沢市、石川県立歴史博物館ギャラリーで開催中の中村さんの加賀竿展に。

金沢は先の大戦で爆撃を受けていないので、金沢城をはじめとして街のあちこちに古都のたたずまいが感じられ、展示会場の歴史博物館もその一つである。

今から100年以上前の赤レンガ造りの兵舎は博物館として利用されていて、この日も社会見学の子どもたちが絶えなかった。

中村さんは途絶えようとしていた加賀竿を復活させるべく、教員を早期退職して竿つくりの職人になった人である。

温厚な人柄と金沢の雅な伝統を反映して、ひとつひとつの竿が丁寧に時間をかけてつくられている。

江戸時代、加賀藩の武士の間で行われていた鮎の引っ掛けの「テンカラ竿」を復元した。長さは1mあまり。穂先はクジラのヒゲである。

下の絵は、浅野川で鮎の引っ掛け「テンカラ」を振る武士を描いた江戸時代のものである。

6:4調子の5本継ぎのテンカラ竿のほか、3本継ぎでやや硬めの7:3調子のテンカラ竿。さらに白山源流の大型イワナを対象にした白山テンカラ竿も。

 

 

白山テンカラ竿は8:2調子の先調子に仕上げてある。継ぎ方は内角低めのインロー継ぎである。西郷さんが白山テンカラ竿で釣りをした記事はつり人に掲載されている。

このほか、ルアーロッド、フライロッドの注文があるので、それぞれリクエストに応じてつくっているとのことである。フライロッドのグリップには加賀の伝統文化がいかされている。

気になっていたので、テンカラ竿だけでなく、ルアーもフライロッドについてもついつい値段を聞いてしまった。

ここに書くことはできないが、え? 本当ですか?という値段である。自分はまだ修行中なので、高いお金をいただくことはできない、とあくまで謙虚である。

素材の調達、1本つくる手間と時間、2本とないオリジナル性を考えれば、もっと高い値段をつけてもいいのではないかと思いつつ、会場を後にした。

帰りは白山ホワイトロード(旧、白山スーパー林道)で一足早い紅葉を。眼下には深い渓谷が。イワナたちは安息の日々だろう。やがて岐阜県白川郷へ。

ここで焼肉「てんから」で焼肉と思ったが、休業日ではなかったものの、お祭りがあったのだろうか。あいにく特別休みで残念。7月にダニエルが来たときにも案内したが、そのときは改装中。

店の名前が「てんから」である。店主が釣り好き。テンカラファンの方、白川郷へ行ったらぜひ「てんから」へ郷。