中野川倶楽部(2)

 

明けての空は、雲は多いもののときおり稜線が雲間に見える。まずまずの天気だ。今日こそ雨はないだろう。

私が来ているということで管理人の斉藤さんが愛媛のテンカラマンのOさんに声を掛けた。ぜひ一緒にとのこと。もちろんウェル亀。

ではと、釣り開始。仕掛けがウーン! 竿はG社の2段ズームを一番短くして3.5mで使用。問題はラインである。

レベルライン4.5号を5mなのだが、スプールから取り出したままのカールの、くるくるカールでキャスティングするのでまるでコイルが飛んでいるようだ。

これだとポイントを狙ってキャストできない。毛バリがどこに飛ぶかわからない。飛んだところに魚がいれば食うかもしれないというキャスティングである。

Oさんは拙書「超明快レベルラインテンカラ」を読んでいてサインを求められた。ということは、そこにはレベルラインはカールをとってからと書いてあるが、実際、本だけでは伝わらないものだなと思った。

辛抱たまらず「ストレートライン4.0m」を渡して使ってもらった。毎度のことだけれど、その飛びの違いに驚く。すぐに狙ったところに毛バリが落ちるようになった。

「渓流テンカラZL」も使ってもらった。「何ですか? この竿は。何もしなくても毛バリが飛んでいく」と竿の違いに驚く。3時間程度のマンツーマンだったが、最初とはまったく違うテンカラになった。

Oさんはさっそく竿とラインを注文。手元に来たので近々、中野川にチャレンジするとのメールが。今頃、快適に快調にテンカラを楽しんでいるだろう。

支配人の斉藤さんが組合長を紹介したいという。組合長はテンカラをやるとのことで、私のことを知っているらしい。この日は翌日の釣り大会の準備が終わって皆で呑んでいるところだった。

昼の2時半から呑んでいるらしいので、夕方の今頃はベロベロだろうな。一滴も呑めない私には酔った酒呑みは苦手なのだ。

ところが組合長は呑んではいるが、いい人だとわかる。酒で目が飛んでいない。世の中には「呑まなきゃいい人なのに」という人がいくらでもいるが、組合長は呑んでもいい人だった。明日、一緒にテンカラをすることになった。

今日は最終日。天候は晴れ。新緑が5月の薫風を運んでくる。咲き始めた藤の花がかすかに香る。

管理人の斉藤さんはフライマンで、これまでテンカラを見たこともやったこともないので一緒にということになった。ウェルカムである。

組合長は膝までの長靴でいいという。大丈夫だからと。こういう人は川歩きに慣れている。水に入らず石を跳んで最短距離を歩く。当然、釣りもうまいに違いない。

組合長のテンカラは3.5mの竿に2号の透明フロロを4m程度だが、カールのままである。カールは気にしないようだ。ハリスはナイロンの1.2号である。ハリは10番サイズの太軸のガッチリバリである。

ほとんどクイクイ引く。斜めにクイクイ、上流からクイクイ。これならカールは気にならないだろう。おっと掛けた! 餌もやるので魚の付き場がよくわかっている。足元を見るとズボンが濡れていない。さすがである。

私にイワナが釣れた。自然分布では四国にはイワナがいないのでイワナは移植したものである。組合長の話では昭和48年に北陸から入れたらしいとのことで、そう言えばニッコウイワナの特徴がある。

斉藤さんはフライマンなので、広いフラットなポイントが好きなようだ。でも、テンカラの仕掛けからはそういうところはパスしてピンスポットへ。

最初こそキャスティングの違いに慣れるのに時間が掛かったが、ピンスポットに毛バリが入るにつれ掛けたり、掛かっていたり。

ドライフライだとアタリはわかるが、毛バリが沈んでいるときのテンカラのアタリが、にわかにわからないのは仕方ない。こちらから見ると、あ!アタリだというのが何回もあったが。

やはりフライマンである。竿を10時で止めれば毛バリから着水するので魚を警戒させない。指摘されたときはできるが、そのうち9時まで倒してライン、ハリスがベターと着水する。

フライとテンカラは違う釣りと割り切れば、斉藤さんのテンカラが上達するのは間違いない。

最終日の午後の1時間だけ、一人だけでクラブハウスの下で集中して毛バリを振った。いつもドライフライを見ているので、ちょっと沈んだテンカラの毛バリには素直に反応する。24cmを頭に4匹釣って中野川の釣りを終えた。

5/20-21は石徹白のテンカラミーティング2017である。昨年が96名、今年は100名を予想している。楽しいイベントになるように準備中である。