高齢者の有効視野

 

 

 

 

 
 

高齢者の交通事故がニュースになっています。これに関係して、7つのTV局から高齢者の有効視野について図を使用させてもらえないかと問い合わせがありました。使用してもらいましたので、あるいは見ている方がいるかもしれません。

眼科では病気による視野を検査しますが、有効視野は眼科の視野とは違う概念です。

視野の中心に強く注意を向けなければならない負荷(注視負荷)がある場合の、視野の周辺で認知できる範囲が有効視野です。

パソコンソフトで測りました。約400名のデータです。詳細は略しますが、図はまったく同じ条件で測定した場合の年代別の有効視野の広さを示します。

高齢者の体力に差があるように、高齢者でも広い人、狭い人の個人差が大きいのが特徴です。したがって高齢者だから・・と、一概に決めつけることはできません。

平均的にみた場合、高齢者は極端に狭いことがわかります。ただし、これはあくまで測定条件下における「年代別の相対的な広さ」を示すものにすぎません。

これが実際の運転中の視野を表すものではありませんが、実際に運転しているときの高齢者の視野は狭いことを推測させるものです。

たとえば、対向車がある場合、対向車の速度や、直進、右左折などに注意(注視負荷)を向けています。

このとき、若い人なら、左右からの車、自転車、歩行者などを視野の周辺で認知できますが、高齢者の視野は狭いので、これらが、もっと自分の近くに来ないと気づかないことを推測させます。

私は交通視覚は専門ではありませんが、高齢者の有効視野の相対的な広さの研究データがないため、TV局は私のデータを使用しました。役に立てば幸いです。