アメマスは東北にもいるようだが、魚の大きさ、数の多さから言えばアメマスは北海道の魚だろう。
2008年の秋に茶路川など太平洋にそそぐ川でアメマスを釣ったことがある。そのときは群れをなすアメマスが紫の帯のように連なり、あたかもタバコの煙がゆらぐように泳いでいた。
一匹づつ識別できないくらい数が多かった。聞くところによると今は数が減ってしまったようだ。一番上の写真はそのときのアメマスである。全体に茶色で白い斑点も薄い茶色である。
阿寒湖のどこにもアメマスがいるようだ。中山さんから阿寒湖のアメマスは黄金色と聞いていたが、それは本当だった。
湖畔の漁協桟橋前に小さい沢の流れ込みがあり、そこにワカサギの新子がいるようで新子を食いにアメマスが数匹遊泳している。見た目で50cmは超えている。ときおりバシャとライズしているのは新子を食っているのだろう。
漁協に聞いたら竿を出していいとのこと。さっそく中山さんが逆さ毛バリで1匹。56cmである。足もとから56cmのアメマスが釣れるのも阿寒湖ならではだろう。
私も竿を出すが毛バリには反応が悪い。ワカサギの新子を食っているのでワカサギルアーがいいらしい。中山さんがワカサギルアーを出してくれる。テンカラマンだけれどフライBOXもルアーBOXも持っていて、何でもでてくるドラエモン中山である。
一発で食った。これは53cmだった。
https://youtu.be/6t0MP2xCY0I
魚の肌は黄金色に輝いていて美しい。同じアメマスでも阿寒湖のアメマスだけ違うのだろうか。アメマスは長さの割に細いのでニジマスのようなパワーはない。
ジャンプもしない。横にも走らないかわりにひたすら真下に潜る。ジワッ、ズシッと重い。深いところで掛けたらまっすぐ竿を立て、竿を信頼して疲れるのを待つしかない。
ニジマスは取込まれた後はすでに疲れきって暴れないが、アメマスはまだ体力を残していて暴れるので写真を撮るのも一苦労である。
阿寒湖の桟橋に漁協がある。そこにロブスター丼がある。ロブスター? あの高級な海老の?
実はウチダサリガニという北米産の帰化種らしい。ザリガニというと爪が真赤なアメリカザリガニを思い浮かべる。子どもの頃、アメリカザリガニをマッカと読んでいて、足の皮をはいだカエルの肉をタコ糸でしばって釣るのが遊びだった。
だからザリガニ?と思ったが、これが実に美味なのだ。適度に歯ごたえがあり肉が甘い。そしてドンブリ一杯のロブスター、もといザリガニである。もし近くの店にこれがあるなら週2回は食べに行くくらい美味い。
さらにワカサギ丼もお薦めである。ワカサギはアマサギと呼ばれるくらい甘味のある魚であるが、シャキッとした歯ごたえと甘みで近くの店にこれがあるなら週3回は食べに行くくらい美味い。
阿寒湖の水は一旦、太郎湖という小さい湖に流れ、そこから阿寒川になるようだ。太郎湖には天然のニジマスがいるというのでGOである。
さっそく流れ込みで竿を出す。ラインはストレートライン4m、ハリス2号を1.5mに換える。いつもの12番の撃沈毛バリである。
一見しただけで急深になっているのがわかる。急深なので気をつけながら足場を固める。上流に打ち流れになじませる。底石に毛バリがゴトゴト当たるのがわかる。底石がゴロゴロしているようだ。
コッというアタリ。クッと合わせるとググッと引きこむものの阿寒川のニジマスのような疾走はしない。何だろう? しばらく続いた引きが急に弱くなった。? ウグイかな? 案の定ウグイだ。
これが2回続いた。またウグイだよ。
またクンという小さいアタリ。ウン?と聞くようにして合わせる。グンとした重みはあるものの疾走しない。引きも強くない。しばらくすると急に引きが弱くなった。なんだまたウグイか。
そう思った瞬間、沖に向って疾走したのだ。ナンダ? ナンダ! これは。
強い引きになんとしてもついていかなければ。一歩、二歩前に。そこからは更に急深になっていたのだ。あっという間に肩まで水没した。
やばい!と思ったが、なんとしても上げたい。竿は絶対に離さないぞ。
一歩、一歩上、つま先でかけあがりを上がり、レスキューに来てくれた中山さんに引きあげてもらった。
魚はバレていなかった。しばらくのやり取りで次第にピカピカの魚が見えた。これは天然のニジマスだ。これは絶対にとりたい。取り込んだのは45cmの天然のニジマスだった。
こんなにピカピカのニジマスをこれまで釣ったことはなかった。阿寒川のニジマスとはまるで違っている。
今、冷静に振り返ると危なかった。ウェストベルトはがっちり締めていたがそれでも両足にはバケツ1杯の水が入っていた。もし、ベルトをしていなければドドッと入る水で湖に沈むしかなかったと思うからだ。ベルトしていたので助かった。皆さんもベルトは必ずしてくださいね。
もし、ベルトなしで水没して死んだら戒名は石垣土左衛門(どざえもん)である。
太郎湖の流れ込みで竿を振るとどこからともなくダイオォーゥ、ダイオォーゥという声が聞こえる。太郎湖に残ったダイオーの無念の魂が木霊となって、湖底に沈む仲間を誘うという太郎湖の伝説が生まれるところであった。
今回は天然ニジマスは45cmであった。北海道にはさらに大きな天然ものがいるらしい。次は50cmを越える天然ものをテンカラで狙いたい。生きていれば。
中山さんの桟橋でのアメマス(動画)
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