本流テンカラ発売

 

6月、本流のテンカラの季節にあわせ、シマノから新「本流テンカラ」が発売されます。

スペックはこちら

この竿のアドバイスに2シーズンかけました。数回のテストをへて、本流竿にふさわしい竿になったと思います。

2005年に本流テンカラが出て10年ぶり。この10年の間に素材、製法が進化し、旧・本流テンカラをクリアするベストな竿になったと思っています。

今回、シマノが私のコンセプト、アイデアをすべて採用してくれたので私の意思を竿にすることができました。シマノに感謝です。

開発にあたっての私の竿のコンセプト

・振込回数と振り軽さ

竿の最大クレームは折れることです。なぜなら竿ばかりでなく心も折れるからです。折れないためには肉厚にすればいいが、これでは重くなる。竿が長くなるほど重くなる上に、竿径が太くなり、さらに継ぎ数が多いほど太くなります。これをどのようにクリアするかである。

テンカラの振込み回数は1日に1000回を越えるでしょう。仮に3秒流し、ピックアップして、次のポイントに打つまでに10秒とすれば、1分間で6回、1時間で360回、5時間で1800回キャストします。こんなに多くないとしても、経験的にざっと1000回は越えると思います。 つまり、竿に求められるものが他の釣りと違うのです。

これだけ振込み回数の多いテンカラでは、竿が太いと風切り抵抗(空気抵抗)がきつくなります。そのため空気抵抗を軽減する必要があり、自重よりも振り軽さが要求されます。

そのためには竿径を細くすればいい。このことから旧・本流テンカラの6本継ぎを、5本継ぎにして竿径を細くしました。さらにズームをやめ、4.5mを10cm短くして4.4mにすることで 振り軽い、細み設計にしました。

5本にすることで仕舞い寸法が10cm長くなりましたが、本流竿なので仕舞い寸法100cmの長さはさほど問題にならないでしょう。

・折れない竿

本流での使用を考慮しているので、ロングラインを振ることを想定した場合、竿のしなりがラインを運ぶ胴に乗る調子が必要です。そのため胴調子にしましたが、ヘナヘナではなく、腰の強い、粘りのある竿になりました。

軽くするためには肉厚を薄くすれば軽くなりますが、すぐに折れます。1日1000回以上のキャストを繰り返せば、薄い竿の耐久性は低くなります。とくにチカラが集中するのが穂先から3番までです。

このため本流テンカラでは穂先から3番まで、他社の竿にないほど太く、さらに強化しています。折れない竿になったと思います。もちろん絶対というわけではありませんが、振り軽く、しなやかで丈夫な竿になりました。

「渓流テンカラ」と兄弟で、本流テンカラが兄というコンセプトを考えたので、そっくりです。このためグリップはコルクより手にやさしいEVAで、 渓流テンカラと太さと長さは違いますが、握りやすい形状にしています。グリップにTENKARAが入っているのは多少のオシャレを考えたからです。

・無駄をはぶき実用本意

シマノの竿をアドバイスするようになってから、無駄をはぶき、実用本意な竿にすることで、価格を安くすることをお願いしてきました。定価は34.700円。コストパフォーマンスは高いと思います。

価格を抑えた実用本意な点として、今回、竿ケースつきにしてもらいました。薄いプラケースの場合、捨ててしま って竿ケースとして使うことは少なかったと思います。そこでプラケースではありますが、竿のケースとしても使えるようにハードケースにしました。これで竿の保護ができるとともに、100cmの 竿が入る竿ケースを買う必要がなくなりました。さらに、他にテンカラ竿が2〜3本入るので、竿ケースは捨てないでほしいと思います。

私はテンカラの幅を広げたいと思っています。私自身、源流、渓流、本流のどこでもテンカラがしたい。 自分の竿では本流はできないと、やりたいけれど指をくわえて本流を通りすぎる人をこれまで多くみてきました。

この竿があれば、本流のほとんどをカバーできると思います。この竿なら夢がかなうので、テンカラの幅を広げてみませんか。

・誤解がないように

以下は書きたくありませんが、これまで何度も言われたので、誤解している人がいるようなのであえて書きます。

「この竿が1本売れるといくら入るのですか? だいぶ稼いだでしょう」

私はシマノから1円のお金ももらっていません。私自身、こういう竿があればいいと思う竿、つまりMy Rodをシマノに作ってもらっているのです。これはありがたいことです。

さらに、このような竿に出会ってよかった!と思う人がいるだろうから、そのことも考慮しながらアドバイスしています。お金のためにしているわけではありません。誤解 ありませんように。