根羽川テンカラ講習会

 

5月3日は恒例の根羽川テンカラ講習会。青空とあざやかな新緑に藤の花が色を添え、一年でもっともいい季節を迎えた雲ひとつないさわやかな祝日。

藤の花が咲けばその土地のテンカラはシーズンインである。毛バリを見慣れていない魚はまだウブで、テンカラ入門にうってつけの季節である。梅雨までの1ヶ月あまり、世界に誇る美しい日本を楽しみたい。

この講習会は足助のいろは釣具店主催で、かれこれ、あれこれ、これこれ20年近く続いている。参加者は講習を受ける人、サポート、ひやかし、ちょっと覗いただけという人を含めて43名とのこと。誰が数えたの? 遠路は奈良から、松本から。岡山からはひやかしの1名が。

実際に講習を受ける人は約20名。お決まりの座学で竿の扱い、仕掛けの説明にくわえて、はじめて参加する人に慣れておいてもらわないといけないのでオヤジギャグを軽くふたつ、みっつ。

今日は10時ごろに放流の手はずになっている。というのも20名の参加者に成魚放流なしで講習中に釣ってもらうのは不可能だから。そもそも講師が釣れない講習会として有名で、講師は腕が悪いという評判がたたないように漁協にお願いして放流してもらった。

放流日にテンカラ講習会を当てたというのが正しい。ということで、餌釣り師が大挙して、竿を伸ばして今かと待っている前を「すみません、すみません」と下流へ。我々を見る視線がきつい。何だお前たち、俺たちのとり分がなくなるではないか。

お決まりのキャスティング練習、どこに魚がいて、どこでくわえるかという説明、毛バリの流す時間と回数などの説明をしながら放流車の来るのをまだか、まだかと待つ。

遅れること1時間で到着。さっそく何ヵ所かに分けて放流してもらう。さぁ釣りましょう。

今回は昨年、初参加した愛知工業大学フィッシング部卒業生のA君が彼女を連れてきた。アマゴを釣る前にオナゴを釣ってしまったではないか。

G石原さんが小学5年の孫にもテンカラをというわけで、この日は10歳から70歳までがテンカラを楽しんだ。

午後3時にいつもの「釣れなくて閉口式」。その後、Tシャツ、帽子などのジャンケン大会。今年造った「レベルラインテンカラ」のキャップは彼女がゲット。呪いの帽子なのだけど(冗談ですよ)。

あまりの人の多さで、魚も餌を食うどころではなく、更に魚にもサングラスが必要な晴天だったのでたくさん残っている。魚だってこれまで養魚場で餌をもらっていたが、これからは自活して自分で餌をとらなければならない。大学生が社会人になるようなものだ。

腹が減った魚たちも夕方から餌を獲りだすから、きっと時合いがある。天候や、風をみてそれを「5時13分から」と宣言した。皆さん、冗談と思ったようだ。言った以上、確認が必要である。

5時18分に1匹目が釣れた(これホント)。その後、5時半からパラッと小雨になったことから一斉に食いがたち6時までの間に5、6匹が面白いように出た。5時13分ではなかったが、これは誤差の範囲だった。6時に上がったが本当に釣れるのは6時半から7時までだろう。

来年の講習会があるかどうか、わからない。俺たちに明日はない歳になると、来年があるかどうかわからないからだ。生きていればやるかもネギ。

写真提供 久保さん、O谷さん