人間ドック学会新基準、そういうことだったのか

 

北の安曇野通信に人間ドック学会の新基準についてアップしたところ、いつも遊んでもらっているテンカラ・ドクターからメールが来ました。

この新基準は昨年、医学界で大変問題になったそうです。それまで収縮期血圧が130だったのが147になったので、「自分は高血圧ではないのではないか」「降圧剤を飲み続ける必要はあるのか」などの戸惑いの声が広がったとのこと。

 しかし、この「新基準」について高血圧学会が反論。さらに、コレステロールの基準についても日本動脈硬化学会が異議を唱え、日本医学会などからも問題点が指摘され、この反論や異議に慌てた人間ドック学会は、言い訳じみた説明をホームページに掲載する羽目になったようです。

image/tenkara/2015/kijyun/37.pdf

これを読むと、「人間ドック学会の基準範囲内になったからと言って、治療を受けなくてもよい、薬を中止してもよいわけではありません」と書いてあります。ではなんのための基準なのかと思ってしまいます。

テンカラ・ドクターは、人間ドック学会が示した新基準は、検診を受けた人の中から「超健康人」のみをピックアップして「血圧が147でも健康な人がいます」と言っているのに過ぎないこと。

さらに、ドクターはこの新基準に決定的に欠けていることは、この「超健康人」が将来にわたってずっと健康でいられるかどうかという時間軸の評価が無いことを指摘しています。

一方、高血圧学会や動脈硬化学会が示している数値は、世界各国でたくさんの人を対象にして、脳卒中や心筋梗塞の発生率を何年にもわたって追跡調査を行ったprospective study の結果導き出された数値であって、決して「エイヤー」で決めた数値ではないとのことです。

私が先のアップで「エイヤー」と決めたとしか思えない、と書いたことは間違いでした。ここでお詫びして訂正します。

この「新基準」は人間ドック学会単独で作っているものでは無く、バックに健康保険組合が絡んでいて、健康保険組合は、医療機関にお金を払う立場にある組合。このため、病気の基準を緩めて、患者の受診を抑制し、少しでも支払いを減らしたいという思惑があるからではないかという指摘です。

なるほどそうだったのか。私は昨年8月にある医療機関で人間ドックを受けたが、そこの基準は新基準ではなかった。ということはあくまで「人間ドック学会」の基準であって医療機関はそれに従っていないのかもしれない。将来予想される病気を想定すれば、厳しい基準であるべきと思う。