バレにくいバーブレスフック

 

バーブレスフック普及協会幹事の私は当然、バーブレスフック。いろいろなフックを試したなかで、バレが少なく信頼度が高いのがバリバスの「2120WB」である。多くのハリは、ハリ先が内側に向いているが、このハリはわずかに外側に向いているのが特徴である。

ある機会からこのハリを使うようになったが、決定的だったのは2013年、イギリスで50cmのネイティブのニジマスを掛けたときである。激しくライズしているニジマスがいたので彼らの前であれを釣ると宣言して、一投で掛けた。

その後だ。ガンガン引く魚をいなし、弱らせ徐々に勢いを殺す。彼らはテンカラを初めて目にする。興味はリールがないのに、どうやって取り込むかである。バラすことは絶対できない。バラせば、やっぱりリールのないテンカラでは無理なんだ。テンカラはそんなもんだと思われしまう。

背中に日の丸を背負っている気分である。絶対にバラせない。勢いが弱くなった頃、一気に竿を倒し、ラインをつかんだ。ラインをつかみ、引けばゆるめ、向けばたぐるを繰り返し、徐々に間合いをつめ、ハリスをつかむところまで来た。ここまで1分余りだったと思う。

ルールで魚をずりあげることはできない。ハリスをつかみ、わずかに魚を浮かせ、掬いあげてタモに入れた。

「やった!とったぞ!」

タモをあげて見せたときだ。タモが小さく浅かったので、勢いでニジマスが跳ねてタモから跳び出た。しまった。バレたか? 幸いバレておらず、またまた引けばゆるめ、たぐるのやりとりで、再びハリスをつかむ。

そのとき誰かがタモを投げてよこした。サンキューである。おかげで無事ランディングできた。

「シマッタ!」

タモから跳び出たときは背中に冷や汗がドッと出るような瞬間であった。他のハリならバレていたかもしれないと思うと、この経験が私の中でこのハリへの信頼度を絶対的なものにした。

フッキングしてもバレるのにはいろいろな要因があるが、一旦、がっちりくわえてしまえばなかなかバレないものだ。バーブレスがバレやすいのは寄せて来る途中で、石や岩に魚をあてて、魚がハネるときや、ラインをゆるめてしまったときがほとんどである。

ラインを張っておけばまずバレないので、その点に気をつければバーブレスだからと言ってバレやすいということはない。途中でバラしたら、それも自分の腕のせいで、修業が足りないと思うことにしている。

とは言っても100%ということはあり得ない。バレるのはいろいろな要因があり、これらが複合しているからだ。

魚:ガッチリくわえない。口先だけでつまむようなとき。先行者がいて警戒、毛バリの流れ方が速い、あるいは不自然なときに多い。

釣り人:合せが早すぎる。気があせっているとき。びっくり合せのとき。途中でバレたときは自分の合せを振り返ってみよう。

ハリ:形状でバレ易いハリがある。ハリの見直しが必要である。

バレ易いハリを使い、毛バリの流し方がまずく、合せが早い場合にはバレまくりである。C&R区間ではバーブをつぶしてもOKのところがほとんどだが、外すときに引っかかる。バーブレスフックが各種あるので、つぶしたハリはダメにした方がいいと思う。