芝川テンカラ講習会

 

禁漁から1ヶ月たつと、禁断症状が出るのは毎年のこと。誰もが竿を出せればと思うので、ならばと、芝川で講習会を開催したのが11月2日である。

禁断症状が強い人が多いようで9時の集合写真のときに36名。やや遅れて数名で40名と犬1匹が集まった。漁協も全面協力で事前に放流してくれたのはありがたい。

11月のこの頃は例年、天候が安定し晴れが多いはずが、天気予報では3連休は雨、しかも荒天になるという予報で、気の小さい私は数日前から心配で、心配で、夜はぐっすり寝ていたのだった。

雨は避けたい。ならば晴れ男に来てもらえばいいだろう。来てほしいと強くお願いしたのがHさんである。なぜなら名前が晴彦だからだ。顔の具合と名前が全然一致しない(本人が言うのですが、私もそう思う)。参加するとの連絡で、これで雨と晴れが中和して曇りになるに違いない。

当日はまったく期待どおりの中和した天候になった。さすが晴れ男の威力はすごい。朝のうちは霊峰・富士山も見ることができた。すでに冠雪した富士山も山頂に笠をかぶっていたのが惜しい。

遠くは長野県上田、埼玉、一宮からの参加もあった。これまで講習を受けてない人だけ、受けるようにお願いした。お決まりのギャグが講習初心者には新鮮だからだ。

まず、いいかげん毛バリ(正式名称はバーコードステルス毛バリ)のコマセ巻きである。その後、キャスティング練習、ポイントの読みと流し方、3の3の法則、反応がない場合の各種の誘いなどの後、各所に分かれて実釣である。

いやいやその数はすごい。30名余りが一斉にテンカラをするのだから。上流を見ても、下流を眺めてもテンカラマン。これに数名のフライマンとルアーマンである。

有史以来のテンカラマンの多さに魚たちは驚き、いななき、くりのき、もものきで、ほとんど遊んでくれなかったのだ。 ボウス、1匹、2匹~6匹程度で、バカバカというわけにはいかなかった。

さすがに日本一の富士山である。今年の夏は雨が多く、追いうちをかけたのが台風19号である。静岡はこの台風で被害が出た。そのため2ヶ月たった今もって水が高い。それもあって流れが強く、ポイントが潰れてしまっていたこともある。

たっぷり降った雨は富士の山肌にしみ込む。現在の富士山の下には古富士と呼ばれる富士山があるそうで、しみ込んだ水は古富士の山肌を流れ伏流水となり、湧水が芝川をつくるのだそうである。湧水は100年前に降った水というからスケールが大きい。

というのを知ったのは『川はどうしてできるのか』(藤岡換太郎:講談社BLUE BACKS)からである。川で遊ぶなら川のことを知りたいと、書店でふらっと手にとった本だが、実に面白い。数万年~1億年単位の話なのでスケールが大きい。

どの話も面白い。なかでも面白かったのが天竜川の源流は諏訪湖ではなく、ロシアのアムール川の支流のウスリー川という説である。

天竜川と信濃川はかってはつながっていた1本の川で、それは日本列島が大陸と陸続きだったときには、ロシアから流れていた川で太平洋にそそいでいたという話である。

そう言われてみれば、諏訪湖が源流とすれば、諏訪湖から流れ出す天竜川の川幅がとても源流とは言えないほど広い。さらに諏訪湖の湖底は天竜川より低い。うーん。なるほど。

その他、木曽川が妻籠(つまご)のあたりから上流でS字状にまがっているのは、くりかえされる阿寺断層のズレが木曽川を曲げてしまったとか・・・。知ったところでテンカラには何の役にも立たないが、私の禁断症状を和らげるのに役立っている。

わずか1ヶ月竿を出さないだけで、足が近畿日本ツーリスト、筋ツーである。シーズン中、渓流を歩いているだけなのに、それでも結構運動になっているのだ。

11/29(土)に名古屋でテンカラ忘年会を開催します。誰でも参加自由です。ご都合がつきましたらご参加ください。

写真提供 一宮の久保さん