三連チャン講習会

 

地図では長野県岡谷インターから佐久までは近いように思ったが、和田峠などの2つの峠を越えて佐久平の視界が開けるまで1時間半であった。はじめての佐久 のうえに、話相手のいない一人ドライブだっただけによけい遠くに思えたかもしれない。

今日は上州屋佐久店での講習会である。昨年までは富山で講習会だったが、カメ仙人の亀田さんが不始末をしでかして、佐久に飛ばされたのを機会に(冗談ですよ)、では今年は佐久で講習会をやろうではないかとなった次第である。

佐久は東信州である。ひと山越えれば群馬県の神流川(かんな)である。思えば遠くに来たもんだ。佐久と言えば鯉である。といっても♪「佐久の鯉太郎」ぐらいしか知らない。知っている人はもはや団塊の世代であろう。

佐久平と言われるように北は浅間山、南は八ヶ岳に囲まれた盆地である。ひとめ見て、ウ−ム高い山がないな。ということは典型的な段落ちの渓流はここにはないだろうと直感する。佐久の町は広々としていて、道路は広く街全体がゆったりしている。冬は寒いだろうが、冬の寒さを除けば暮らしやすいところだろう。

講習会はこれまでどおりアゴ、アシ、泊まりは手弁当である。アゴ、アシと言ってもわからない人が増えたので、もう死語かもしれない。言わなくなって20年である。死語20 

こんな調子で始めた講習だが上限の15名があっという間に埋まってしまって、枠に外れた人がそれでもと来たらしく、20名近くの人が講習を受けてくれた。ありがたいことである。

最前席に席が一つ空いていたので、運悪く、私と目があってしまったカリメロさんの指定席にして、私の質問とツバをあびてもらった。そこはキャリアのあるカリメロさんである。初めて聞く人にはドッと反応する定番のギャグにも「そろそろ出るぞ!」と余裕の構えで、フン、毛バリだとわかって んかんね、の管理釣り場の魚の反応なのであった。

毛バリ巻きも含めて2時間の講習の後、午後は実釣である。実釣にも15名程度参加した。数日前の増水のため抜井川が出来ず、急きょ、南相木川に変更。キャスティングは広い場所だったが、実釣 場所はブッシュがかぶって狭かったので初心者はトラブル続きである。

なによりトラブルありませんか? ハリスあります、結べます? 毛バリは?と飛び回る私は上流へ下流へ行ったり、来たりの大忙しである。

そんな講習会であったが、亀田さんの話では講習を受けた参加者の多くがその後に店を訪れて、店のテンカラ竿は数本を残してスッカラカンになり、タイイングセットは品切れになるほどの反響だったようである。

これにはお礼にと、亀田さんが背中に乗せて竜宮城につれて行ってくれるという話もある。キャバクラ竜宮城なら乙姫様がいるそうなので。

翌日は長野県内の上州屋のスタッフに向けての講習会である。長野県はなにせ海なし県である。お客さんも淡水の釣りがほとんど。渓流釣りの中でもテンカラの人気はすごいらしく 、テンカラ用品を求めるお客が多いものの、なにせスタッフと言えどもすべての釣りに精通することは不可能で、実際に経験していない釣りは多い。そのようなことからいろいろな釣りの研修を行っていて、今回のテンカラ講習も研修会の一つである。

スタッフにはテンカラをやりたい人の用具のニーズと、売る場合のセールスポイントについて話をする。さすがにスタッフだけあってのみ込みが早く、佐久だけにサクサクと話が進む。スポッとのみ込みが早いのは鯉の産地だからか。

午後の実釣は店から15分程度の近くの湯川である。昨日と違って広いけれども正直、水が悪い。でも放流もあるので魚はいるようだ。スタッフの実技講習はラインとハリスの結び方などは省略である。

竿の扱いに慣れているのでキャスティングはうまい。専門がフライの人、鮎の人、ルアーと様々だが、すぐにキャスティングができる。頭をひっぱたいて川に突き落としてやろうと思う人はいない。

残念ながら実釣を始めて1時間で雷雨となり中止となってしまった。講習中に釣ったのは私だけで、かろうじて講師の面目を保ったが、毛バリは講習の際のバーコードステルスではなく、隠し持っていた撃沈毛バリだったのは内緒である。

さて、夜のうちに御嶽の開田高原に向う。佐久から開田・・・遠い。長野の東の端から西の端である。その夜はプチビラMTおんたけ泊まりである。ブログをみるとオーナーの鈴木さんはすっかりテンカラの腕を上げているようだ。明日はパタゴニアのテンカラ女子会の講習である。興奮してオジサン眠れず。

朝のうちは鈴木さんと水の冷たい川へ。やはり、朝のうち水が冷たかったようで、栃木県今市市である。そこにテンカラ女子会の4名が到着。釣れずにしおれていたオジサン は俄然元気になりリアップ。初心者2名、経験者2名であるが、経験者といってもまだまだなのでまず基本から。

リリアンとライン、ラインとハリス、愛で結ばれる毛バリとハリスの定番の講習とギャグ、お決まりのキャスティング練習、ポイントの見方、テンカラの「3の3」の法則などを講習する。

冷たい川での実釣もイマイチで4名で数匹を釣ったのみである。午後は末川に移動。なんと私がかってみたこともないほどの減水である。こんな減水みたことない。「Oh、世も末川」 。ということでわかるように幼児虐待の魚を数匹釣っただけで終わったのである。

一般河川で講習会がいい条件に日にあたる日はマレである。その点、石徹白のようにC&R区間があることはとりあえず魚は反応してくれるのでありがたい。 開田にC&R区間ができれば、御嶽を臨むロケーションと水の良さから人気河川になることは間違いないだろう。

ということで講習会の三連チャンであった。仕事は? 聞かれる前にちゃんとしてますよ。

「ええ! 手弁当で?」ともよく言われる。なぜ手弁当でもするのか。脇が甘い、脇が臭いと言われようが手弁当である。

それは私はテンカラが好きだから。ホントに好きである。「芯、真、信、心」から好きである。テンカラは面白い、テンカラをしている私はハッピー である。余計なお世話かもしれないが、皆さんにもテンカラでハッピーになってほしい。だから普及させたい。ただ、それだけである。

♪「釣れないそぶりしたけれど、俺はお前に弱いのさ、ただそれだけ」

これがわかるのも団塊の世代である。団塊の世代・・と言ってもなんのことかわからない若者が一杯いる。日本の未来は大丈夫か(怒)