GW後半日記の後半

 

西郷ドンは、このGW、9日間連続して竿を出している。しかもすべて車中泊である。車中泊の方がよく寝れるようだ。自宅ではどんな環境で寝ているのだろうか。うち6日間は高原川。

私のお付き合いしている人の中で、現在、最も釣るのではないかと思う。そこでどうしてそんなに釣れるのか考えてみた。理屈っぽくなるので、面倒な人は以降は読まないでください。

大勢、いろいろなテンカラマンがいるので、テキトーな人もいれば、もっと釣りたい、うまくなりたいという人まで熱の入れようも様々である。テキトーでいいやという人は置いといて、もっとうまくなりたい、釣りたいという人向けの話である。エラソーなことを言って恐縮であるが以下は私の考えである。

釣りに限らないが、すべて人の行動の良しあしは状況判断で決まる。状況判断は以下で構成される。

@今、状況がどうであるか(判断)

Aではどうすればいいか(対応)

 

一般的にあの人は状況判断がいいと言った場合、判断を含んだAの最適な対応ができるかを指すことが多いが、対応の前提には判断がある。

ではどのようなことをもとに判断しているかと言えば、私は「A:状況判断」に書いたくらいのことを材料にしている。判断 のもとになるのは「D:過去経験」である。経験値がものを言う。

次にAをもとに「B:活性があるかないか」判断する。

ここでものを言うのが「E:同じ渓流で釣る経験値」である。例えば初めてその渓流に来て10匹釣って、活性が非常にあって、今日はすごく釣れると思う人と、同じ渓流に通っている人には、いつもは50匹釣れるのに、10匹なら今日は活性がほとんどないという判断になる。当然、その渓流に通っている方が有利である。6日間連続の高原川では経験値が違う。

活性があるときは、そのまま続けるだろう。しかし、活性がないと判断したときにどうするか。これがよく言われる「C:引き出し」である。引き出しがたくさんあって、整理されている必要がある。引き出しはあるのだけれど、おもちゃ箱をひっくり返したように中身がグチャグチャなら、ないのと同じである。

この場合にはこうするという対応関係があるかないかが、よく釣る人とそうでない人を分ける。対応には「F:体力・行動力」が関係する。単にテクニックや毛バリ、ハリスの交換だけでなく、立ち位置、ポイントへの移動などの体力や行動力が関係する。そこまで行けばいいのがわかっていても、行けない、面倒などの行動制限は引き出しを限定的にさせる。

このGWのある日、西郷ドンと一緒に高原川を回った。状況判断をもとにした活性の判断はほぼ同じである。別々な場所で離れて釣っていても結局、同じ場所で落ち合ってしまう。水温が活性に影響しているという判断から水温が高いと思われる場所がいいと期せずして一致したからだ。

でも私の2倍釣る。川が2つの流れに分かれているので左、右に分かれて同時に入ったとき、私がまだ1匹も反応がない間に、すでに5匹釣っていた。 そこで意見交換した。その時間帯と水況をもとにしたポイントの判断は同じである。打つ場所、打たない場所の判断も同じ。 ライズしているのは小さい餌を食っている。しかも魚のサイズは20~23cm程度と小さい。テンカラの毛バリでは無視されるので、ライズする魚は相手にしない。これも同じ判断。

どこが違うのか。まず毛バリが違った。西郷ドンの判断は沈ませなければ釣れない(ここは私と同じ)。だからすばやく沈む毛バリを使う。そのような形状の毛バリである。私の毛バリは沈みに時間がかかる。なるほど。

さらに、対岸側でよく掛ける。対岸側は道側ではないので、川を渡らなければならないので毛バリが入りにくい。だから有利だが、西郷ドンはなぜ対岸側を狙ったのか。さっきまで晴れていた。そこは木の影になっていたので魚の活性が高いと思ったから。ウーン、読みが深い。木の影で活性が高かったか、対岸は毛バリは入りにくいからなのか 釣れた理由はわからないが、木の影は私の頭になかった。

決定的に違うのは体力・行動力である。石の上を因幡の白ウサギのように跳べる人と、ドン亀の歩きのようにノタノタと動くのでは毛バリを落とす範囲が決定的に違う。いけると思えば即行動と、わかっていてもまぁいいかとの差は大きい。

一緒に釣るといろいろ勉強になり、教えられることが多い。この歳になるとたくさん釣りたいという気持ちはなくなるが、判断と対応がドンピシャ一致したときがあれば満足である。ここが釣りの一番面白いところではないかと思う。