インドネシアから来た甲斐なく

 

マレーシアでの刑期は終わったのに、今度はインドネシアに流された甲斐さんが、1週間の放免になったのでぜひ大井川源流に行きましょうというわけで、同じ会社の田中さん、西田さんと二軒小屋をベースに楽しむ予定が・・・。

2年前にも来ています。二軒小屋をベースにする限り爺でも楽な釣りができます。地べたに寝るのはイヤだ、釣りの後は風呂だ、飯は作りたくないという願いがここでは叶います。若い頃は地べたに寝て、風呂なんかどうでもよく、食うものを作るのも楽しみだったのが歳とともに次第にそうなるのですよ若い衆。

12時に畑薙第一ダムから予約した車でゴトゴトと。本流は雨で水が高く竿が出せそうもないが、小屋より上流なら大丈夫そう。着いてさっそく甲斐さんと東俣へ。といっても夕食が6時からなので釣りの時間は2時間半しかない。次第に雨が強くなる。レインギアの袖を通して水が入る。

東俣のしょっ口なので誰もが入るからか魚の反応はない。最初のうち、自然に流してもほとんど出ない。雨で水温が下がって活性がないようだ。そうだ、こういう日には奥の手があります。ではというわけで密かに持ってきたミミズに換えると・・・。

誘いを掛けました。それもしつこく、かつ大きくやらなければ反応しません。ここは放流はないらしく自然に適正数に落ち着くようです。放流のある河川のように、小さなポイントから小さいのが出るようなことはなく、ここならというところからボチボチとイワナが。

小枝がクルクル回っている淵の最奥部に尺ものが見える。よく見ると小枝が集まったり、散らばったり。集まっているときにはイワナがその下に入るので、散らばったときを見計らって毛バリをぽとり。おっ餌だがや!と思ったか、ヨロヨロと寄ってきて、パクリ。

そもそも毛バリは見えないので、パクリ食ったかわからないのだが、魚の泳ぎが止まったので「食った!」と合わせをくれると尺イワナ。ヤマトイワナ系のように斑点が少ない。自分の手が大きいので、写真では大きく見えないのですが、甲斐さんがメジャーで31cmの判定。

その後、次第に雨も強くなり時間ともなったので、これでオシマイに。あとは飯だ、酒だのお楽しみ。地元の望月さん(もっちゃん)も加わってよく飲みます。焼酎にウイスキー、ガンガン行きます。私は負けずにバカ飯をモリモリ。ああ、夕飯で5杯、朝飯に3杯も食べてしまいました。まぁいいか。

酒が飲めることが東南アジアの駐在員の条件のようです。それと語学力と胆力。現地のあらくれを相手にするには言葉と酒とキモがそろってないと出来ない仕事のようです。いろいろな意味で優秀な人たちです。

ともかく面白い。話題がつきない。話が絶えることがない。あっちの話、こっちの話と話題がかわって夜がふけてといってもまだ9時。子供も寝ない時間だけれど、寝るか。

ところが予想した通り、夜中に小屋の屋根をたたく大雨に。これはまずいぞ。そのうち小屋が地震ようにミシミシと音がしてかすかに振動する。地震? その割にはずっとしている。

明けて渓流はダ、ダ、ダク、濁、濁、濁流に。コンクリートミキサーをぶちまけたような水の色。水量は昨日の20倍はあるだろう。小屋の人に聞けば振動は水が増えて東俣と西俣の水が合わさって堰堤に落ちるときの振動だそうである。3000mから水を集めているさすがは大井川源流。

とてもダメなのに甲斐さんは行く。わかっていても行く。その気持ちはよくわかります。とても自分の口からダメだから止めたらとは言えない。この間にテンカラ初心者西田さんにテンカラのキャスティング講習を。できなければマレーシア流のむち打ちでピシッとたたくという脅しが効いたようで、一同の前で華麗なキャスティングを披露することができました。

その日は一日、なにするでなくグタグタして飲む、バカ飯を食う。そして寝る。明けての空は晴れてはいても竿も出さず(出せず)に帰路へ。甲斐さんは3000Km離れたインドネシアからわずか2時半の釣りになってしまいました。気の毒です。でも、今度、いいところに案内しますから。

帰りは私の実家のケーキ屋「ラ・ローザンヌ」でケーキを食べて最後のシメです。酒も飲むけど、甘いものも行けます。国道1号のバイパスと52号線の交差点にあります。

テンカラの石垣さんの知り合いですと、ぜひ遠慮なく言ってください。おまけしておきましたと言われると思いますのでレシートをよく見てください。シゾーカではおまけというのは値段がプラスされるという意味ですから。

そんなことはありません。地元に愛されてこそのケーキ屋です。ごひいきにお願いします。

濁流を集めて(動画)