石徹白F・Hレポート(その1)

 

アメリカに帰国したダニエルが、さっそくブログを書いています。やることが速い。写真もプロ並みにうまいと思います。ぜひ、覗いてください。

http://www.tenkarausa.com/blog/

石徹白フィッシャーズホリデーは今年で11回目を迎えました。1999年に最初のイベントを行ってから早くも11年です。私は毎年、人寄せトドを務めてきました。私は可能な限り全国のC&R区間をまわってきましたが、放流に頼らず自然繁殖で渓流魚を殖やすことに成功したのは石徹白と高知県中野川くらいではないかと思います。中野川は四国山脈の中央にある地理的条件や、1日15名という人数制限があるので例外とすれば、名古屋から2時間の距離にあり、誰でも入れる渓流としては稀有な例ではないかと思います。

ここ数年、峠川C&R区間の第一堰堤より上流には漁協は一切の放流を行っていないにもかかわらず、イワナを中心として自然繁殖し、循環が始まり、C&R区間には無数の魚が棲むようになりました。またC&R区間が種川となり、それが本流にいき、本流にもイワナがたくさんいます。いかに魚をキープしないでリリースすることが魚を殖やすかを再確認し、それを全国に発信するイベント、それが石徹白フィッシャーズホリデーなのです。

今年はダニエルを皆さんに紹介し、ダニエルから挨拶してもらいました。向こうの人は自分の意見を言うことに慣れているようで、ものオジオジすることなく、シンプルで筋の通ったメッセージは、まるでダニエルのテンカラのようです。

つくづくクレバーな人だと思います。先の週に、テンカラのさまざまなテクニックを教えました。今年のテンカラの参加者は多く、1日目の講習は榊原さんと私で手分けしましたが、それぞれ10名以上はいたと思います。早朝からフライが、テンカラが、ルアーが叩きまくっているので簡単に出るはずもありません。

ダニエルは前の週に尺ものをランディングの際にバラシタところを辛抱強く粘っています。小さいアタリが3回あったと指を3本立てました。魚も警戒しているのでしょう。そこでどうしたかというと、上流から毛バリを深く沈めて流し、魚の出るであろうあたりで誘いをクイクイと掛けて水中で食わせる方法でみごとヒットさせたのです。これは警戒して食わない魚を釣る方法の1つで、先週教えたばかりです。

つまり、即座にそれを試す切り替えの速さがあります。いろいろ教えてみて人は5つのタイプに分かれます。

@教えられたことを即座に実行できる人(優秀です)

A教えられたけれど実行しない人(やってみる決断が必要)

B教えられたことを忘れてしまう人(よくあるタイプ)

C教えられたこと自体、忘れている人(ボケてます)

Dなにを教えられているか、わからない人(アホです)

今年の渓流エコロジスト会議の講師は北海道大学大学院の大串伸吾さんの「釣り人参加による渓流釣り場管理 〜C&R区間を利用したゾーニング管理を事例として〜」というものでした。渚骨川(北海道)、小菅川(山梨)、道志川(山梨)、石徹白川のC&R区間における釣り人と漁協へのアンケートをもとに、望ましい釣り人、漁協、行政の関係性について報告したものです。

大串さんは27歳、ダニエルも27、通訳のチカラは32歳。元気な盛りです。たちまち意気投合。早朝5時からそろって釣りに。私は当然zzz・・ 大串さんはフライを少し初めたばかり。まだフライに染まっていない。ならば「傷は浅いぞ、しっかりしろ」 テンカラにも興味があるというので、即、竿を渡し、仕掛けも作ってやりました。しっかりウイルスを仕込んで。

テンカラの手際のよさ、シンプルさにぞっこんでした。別れ際にダニエルからTenkara USAの竿を1本プレゼントされました。ダニエルもこれにはウイルスが仕込んであるからとか言ってたので今ごろ北海道で発症しているでしょう。

今回のテンカラの参加者は例年になく多いものでした。バーベQは40名を超えていたでしょう。焼き肉に夢中だったので人数を数えてられませんでした。というのも私の隣がGの男こと、味噌屋の五味さんだったのです。私と同じか、私以上に食べます。取られてはいけないと、半焼けでも口に入れることに忙しく、人数どころではなかったからです。

満腹になるまで食べました。フト気づくと隣の榊原さんの囲みではもう語りに入っています。食べないとテンカラはうまくならないよと思いつつ、再び食べ始めたのです。焼き肉をとるときの手返しの速さは私の振込の手返しそのものです。おにぎり4個、焼き肉は1kg近く食べたのでは。ゲフッと・・・

今年は東京の町田市からテンカラ第一王子(中1)の渡邉親子と名古屋からはテンカラ第二王子(小6)の藤井さん親子が参加しました。ともにバカバカ釣りました。親子対決はそれぞれ一勝一敗?だったようです。テンカラ第一王子と一緒に釣りをしたアマゴンスキー木村さんが、以下のように彼を誉めています。

「彼はまったくもってウマイ!ほれ込みました。天香を嫁にだしてもいいです(笑) 中学生にしてはというレベルではなく、そこらの大人顔負けの腕ですね。まずポイントの読みが的確です。そしてキャスティングが正確で美しい。最下流の大淵で本流テンカラZEで全長7mラインを楽々飛ばしていました。無駄な力が入っておらず、アワセや取り込みも慎重です。末恐ろしいです」

テンカラ第二王子は本流で33cmのイワナを釣ったようです。こちらも末恐ろしいですね。

その2へ続く