カリフォルニアテンカラ日記(1) -サンフランシスコの街-

 

9日〜17日までサンフランシスコのダニエルを訪ね、ヨセミテ国立公園、キングスキャニオン国立公園を流れる渓流でテンカラをしたり、伝統あるゴールデンゲート アングリング&キャスティングクラブで講演やデモを行った。またアメリカでも3ヵ所にしかいない(という)ゴールデントラウトも釣った。今日は9月18日。17日の夜11時に帰宅したばかりの時差ボケで、さらに元来の天然ボケのため、ボウとした頭のままであるが、記憶が鮮明なうちに日記風に滞在記を残すことにする。

今回はデルタ航空で、中部国際→成田→サンフランシスコであり、乗換を入れて自宅からは18時間かかった。サンフランシスコ空港にはダニエルと今回、通訳をしてくれる中野正樹さんが迎えてくれていた。中野さんは東京の西浅草の生まれで、現在はサンフランシスコで日本語や英語が十分でない人のための教師をしている。39歳。ナイスガイである。皆からはMasakiとよばれている。

サンフランシスコはゲイの街でもあるので、ガイとゲイを間違えると大変なことになる。ナイスガイである。非常に細かい気づかいのできる人で、その点、日本人以上に日本人らしいダニエルと馬があうようで、もちろんテンカラにぞっこんである。一人でテンカラにも行くようで、後々、書くことになるが広大なカリフォルニアを爆走し、サンフランシスコから3時間のシェラネバタ山中まで月に数回通うテンカラオタクでもある。

さっそく、ダニエルの自宅へ。奥さんのマーガレットは今、ロスアンゼルスである資格をとるため勉強中で、目下、独身とのこと。愛妻家のダニエルは寂しいようだ。さっそくブランチに行くことになった。サンフランシスコはロスほどではないが移民の街で、さまざまな民族が独自のコミュニィティーを作っているようで、ダニエルのアパートから2つ先の通りは中国、ベトナム、韓国などのさまざまな店があり街を歩く人もアジア人がほとんどで、私にとってもリラックスできる街である。

さっそくベトナムの店に入り、牛肉入りホーを食べる。ホーこれが!とさっそくボケをかます。さっそくですかと中野さん。アメリカンサイズである。中を注文したが、かなり多い。中野さん曰く、大だとドイツ軍のヘルメットのようなボリュームがあるそうだ。これがうまい。実にうまいのだ。

ダニエルがドリアンのアイスクリームの店に案内する。たぶん中国人の店だろう。実は中野さんはドリアンがダメらしい。私は果物では食べたことはないが噂によれば、ドブとか雲子の臭いらしいが、アイスクリームはそれほど臭くない。せいぜいネズミの雲子程度であるが、中野さんは顔をしかめて食べている。

ここで中野さんは仕事へ。ダニエルが街を案内してくれる。サンフランシスコは坂の街である。そして路面電車。坂があるということは丘の街でもある。スキーなら中級程度の斜面に家がびっしり。斜めに傾きながら路上駐車している。車の乗り降りはどうするのだろう。ブレーキが利かない車は走れない。幸い、冬、雪が積もることはほとんどないようだ。

坂を車がスキーのスラロームのように降りる一画があり、観光名所にもなっている。何台もの車がスキーのようにして降りてくる。そこは路面電車の停車場にもなっていて、停まった電車に飛び乗って、港へ。このときは薩摩の守(ただ乗り)であった。港の先にはアルカトラ ズ島が見える。今は刑務所の使命は終わり、刑務所観光として大勢訪れるようだ。

この港はシーフードがうまいとのこと。少し早いディナーとしてシーフードを。クラムチャウダーと蒸エビをパンに挟んだものを注文。かなりのボリュームがあり、これでもう十分である。これもうまい。実にうまい。中国人の店で、店内は中国語が飛び交っている。まるで喧嘩しているような勢いである。

ゴールデンゲートのサンセットを見に行くことになった。ゴールデンゲートに落ちる夕日は綺麗とのこと。この日は名物の霧がかかっていないので、ことさら綺麗なようだ。再度、路面電車に乗ることに。観光客が多く、30分並んでやっと。5ドルであった。並ぶ時間が長く、肝心な太陽は海の下に沈んでいたが、それでもブリッジを黒いシルエットに浮かびあがらせていた。

ダニエルはWebでテンカラ用品の通販をしている。収集したテンカラグッツが綺麗に整理されている。今はタモ作りに興味があるようで、日本の渓流タモはアメリカ人にも人気のようである。

その夜、日本から持参した抹茶やお茶をしこたま飲んだ。これが利いた。時差ボケで眠れない上に、お茶の利尿作用がきいて、夜中に4回もトイレにたった。まるですべての細胞から水気が抜けるようである。夜中に4回は生まれて初めてである。よく出るものと我ながら感心する。

飛行機の中が乾燥し、サンフランシスコも日本で言えば10月中旬のドライな気候でまったく汗をかかない上に、しこたま飲んだからだろう。眠れないままにサンフランシスコの夜が明けた。コケコッコーと鶏は鳴かなかったが。

路面電車から(動画)

路面電車の回転(動画)

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